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市長提案の予算を議員全員が否決?

この記事は、2012年12月号の伊勢じゃーなるに掲載された原稿を一部修正したものです。

卒・オール与党の自治体議会

議員全員が市長提案の補正予算案を否決し、議員提案の修正案を可決するかもしれないという状況が2012年の三重県松阪市議会で起きた。議員全員が市長提案を否定するという話は、めったに起きるものではない。過去何十年ものあいだ、地方自治体の議会では首長(市長や町村長)と議会の馴れ合いがあって、首長提案の議案が否決されることはほとんどないばかりか、全会一致で可決されるパターンが通例だったからだ。反対者があるにしても、それは一部の議員にすぎず、提案された議案成立は揺るがなかった。ところが、いまは状況が違っている。

「原案通り可決」ばかりだった議会

 議会のあるべきかたちとして識者などから提起されている課題の一つは、議員同士が活発に討議を交わし、首長から提案されている議案を修正したり、逆に、議員提案条例など政策立案をしたりすることである。いま全国で制定数が急増している議会基本条例にもおおむねこのような事柄が書かれている。
事実、自治体議会が批判される理由の一つに、首長提案の議案は「原案通り可決」ばかりで、議会が「修正」することなどないというものがある。確かにその通りで、年間に提出されるおよそ150件程度の議案のほぼすべてが無修正のまま可決されているのが現状である。
 議員提案の条例と言っても、公共施設での禁煙やポイ捨て防止など市民の健康や快適な生活環境を守るような条例であれば自治体を揺るがすことはなく、議会と首長の間が緊張に包まれることもない。行政も笑って受け止める。ところが、予算案を修正するとなると、一部の議員から提案があっても、大多数の議員によって否決され、首長提案の予算案が「原案通り可決」されるべきものだった。予算の編成権は首長にしかなく、修正といっても、議会に予算を増額修正する権限はなく、もっぱら減額修正のみだ。それほど、予算と首長の結びつきは深い。

市長提案に議会真っ向から対立

 で、今回、なにがもめたか、である。それは、公営ギャンブルである競輪場の存否のことだ。公営ギャンブルの唯一の存在理由は、自治体の財政に寄与することである。競輪の儲けを自治体に入れるのが使命だ。が、この10年それができていない。そればかりか、赤字に陥ってしまった。市の財政が競輪から援助を受けるのがスジであるのに、逆となり、市が競輪を助けなければならない事態となった。それではなんのための競輪かがわからない。
市長は、企業再生屋に託す方法を選択し、税からの補てんと、最長3年の支払を約束する議案を出してきた。それに対して、この審議を預かる文教経済委員会では、委員会として修正案を出し、関連部分を削除することを検討中だ。委員会の修正案が可決すれば、本会議でも市長案は否決される公算がひじょうに大きくなる。
しかも、この採決は、たんに議会対長の関係だけでなく、多数の従事者をかかえた競輪の存否にかかわる。それだけにきわめて重い判断となる。

市長には「反論権」を付与

一昔前の議会は、市長との関係が密な与党会派なるものが存在し、市長提案の議案はのむ代わりに、ウラで市長に要望を通す舞台裏政治が盛んで、オモテの会議は議論が活発でないのが一般的だった。しかし、議会との対決姿勢を鮮明にする「オール野党」の市長が増え、議会と長との関係は変わってきている。
そんな状況変化を背景とはしているが、議決機関としての議会が自治体の最終意思決定に対して責任を負わなければならない重みを背負うという当たり前のかたちに近づきつつある。
議会改革の究極は、自治体の意思決定に責任を負うのは議会、議会が決めたことに対する執行に責任を負うのが首長という関係になることだ。いままで、「あの市長が決めたからこんな赤字が出た」と市長を批判することがあったかもしれないが、決めたのはあくまでも議会であるということを忘れてはならない。
しかし、議会がとんでもない決定をしたとしても市長は黙ってそれに従わなければならないかとなると、法律は1つ安全弁を用意している。戦後の日本の自治体議会制度の本家本元であるアメリカでは長による拒否権、日本では再議権と呼んでいる。実際はどちらもほぼ同じで、長は議会の議決に納得できない理由をつけ、再度、審議するよう求めることができる。松阪市議会では議会基本条例で、議会の議決等に対して市長に「反論権」を付与することによって、争点が明確になるようにした。施行されたばかりの条例だが、その初っ端の議会でその行使があるかもしれない。

 



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伊勢じゃーなる

Author:伊勢じゃーなる
「伊勢じゃーなる」は、伊勢を愛し、伊勢をいま以上に住みやすいところにしたいと願う市民が発案しました。 自分たちが知りたい情報を、自分たちの手で集め、自分たちで発信していく。 地域、コミュニティのありかたを、ひとまかせにせず、自分たちで考え創造していく。 自主的に社会生活を営むことのできる市民になるためには、判断材料となる正確な情報が必要です。 既存メディアが明らかにしようとしない事実を、ミドルメディアの力をかりて伝えていくのも、特徴のひとつです。
政治を考える一助となるよう願っています。

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